(C)2010 NEUE ROAD MOVIES GMBH, EUROWIDE FILM PRODUCTION
『pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』
http://pina.gaga.ne.jp/ (音注意)
天才舞踊家といわれ、世界中に熱狂的なファンがいたピナ・バウシュ。
バレエと演劇の垣根を取り払った彼女の作品は
言葉がないのに叫びが聞こえるような激しい感情と観たことのない身体表現に満ちている。
しかし、2009年に彼女は癌でこの世を去る。
20年来の友人であるヴィム・ヴェンダースと約束していた
映画の企画をのこして−−。
ずっと観たい観たいと思いつつ、機会を逃していた作品。
やっと観られた! そしてすごくよかった!
彼女の人生を追うとか、舞台裏にせまるとかではなく、
彼女が率いたヴッパータール舞踊団の作品を断片的に見せるシーンと
舞踊団のダンサーがソロもしくはペアで踊るシーンで構成されていてうれしかった。
ドラマチックなカメラワークで、思う存分ダンスを堪能できる。
抱き上げる腕から落ちてまた抱きしめ合う動きを繰り返すダンスなど
いろいろ印象に残っているシーンがあるけど、
やっぱりドキッとするのは
自分の身体を物みたいにあつかう女性ダンサーの動き、だなあ。
ソロ・ペアで踊るシーンの映像がとにかくカッコいい。
道路、モノレールの中、工場、プールサイド、川縁、崖と
踊ってるひとなどいないはずの場所でパフォーマンスが行われるさまは
スリリングで、シュールで、美しい。
インタビュー時には整った顔立ちで静かな佇まいの団員たちが、
ダンスになると、ものすごく感情的に身体を投げ打つ。
インタビューで「ピナは私達を解放してくれた」という言葉があって、
秘めた激しい感情を表現するすべを、この人達は手に入れたんだ、と思った。
観たあと、跳んだり、這ったり、誰かを抱きしめたくなる作品。
東京では、ヒューマントラストシネマ有楽町とシネ・リーブル池袋で上映中。