少し前にやっていたお仕事が、かたちになって世に出ました。うれしい。
それは初めてやる大きな仕事で、
書いても書いても終わらず、
朝まで書いて2時間寝て、起きて8時間くらい書いて2時間寝て、また朝まで……
というような生活を送っていた。
原稿が6〜7割終わったあたり。夕方寝落ちていたら、夢をみた。
修学旅行のようにみんなで旅館に泊まっていて、
一つの部屋に輪になって座っていると
クラムボンの原田郁子さんみたいな人が来て、歌を歌ってくれる。
私はそれを聞いて夢のなかで泣いてしまう。
そうしたら、なぜかそこにいたお姉ちゃんが「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と
私の頭を撫でてくれるのだった。
そこで、若干しゃくりあげながら目が覚めた。
あぁ、いま自分はつらいんだなあ、と他人ごとのように思った。
なんとわかりやすい夢。しかもそこでなぐさめてくれるのが姉とは。
色気のなさにしんみりする。
6〜7割まできたとはいえ、まだ先は長いし、しかもこれでいいのかもわからない。
初めての仕事のやり方は、誰も教えてくれない。
壁にぶつかりながら、先があることを信じて、そろそろ歩くしかない。
気を取り直して、すぐ原稿の続きを書こうとしたけれど、
夢のなかのメロディーが頭のなかで鳴るたびに、涙が出てしまう。
しかも、だんだんしゃくりあげがひどくなってきた。
とりあえずなにか飲んだほうがいい、と思い
お茶を淹れ、飴をなめて、深呼吸をした。
はー。原稿書きすぎて夢で泣くとか、うける。
それをひとりで何とかしようとしているのも、うける。
このつらさも含めて私の仕事だ、と思った。
そこには「なんでここまでして」みたいな後悔はなくて、
泣いてるくせに、「こうでなくっちゃ」という妙に前向きな気持ちだった。
最初だしな。徐々に筋肉をつけて、鍛えていかないと。
そして、最初はあれくらいの負荷でまいっていたなんて、と
マッチョになった私が懐かしく思い出すようになるのだろうな。